いま、わたしのマイクロ法人は開店休業状態です(休眠会社にはしていません)。個人事業の事業収入は微々たるおこづかい程度、メインの収入は雇用主からの給与所得です。
マイクロ法人からの給与所得がメインだったときは、法人と個人をあわせて、手元キャッシュを最大化するため、いろいろな策を練ることができました。税と社会保険について、理解がたりなかったこともあり、顧問税理士さんによく質問したものです。ある意味、それがひとつの楽しみでもありました。しかし雇用主からの給与所得がメインとなったいま、これほどまで、サラリーマンは労働の対価としての所得に対し自由がないのか、ということを痛感しています。
未知の世界だった確定申告。
ずっとサラリーマンとして給与収入を得ているひとにはピンとこないかもしれません。わたしもかつてはそのひとりで、給与明細や源泉徴収票の項目の意味をまったく理解していませんでした。わかり始めたのは個人事業主として確定申告をはじめてからです。そこでやっと所得控除のもつ意味を理解しだしました。
もちろん医療費控除や、いまでしたらふるさと納税で節税をされているかたもいるでしょう。いっぽう税の知識のなかったころのわたしにとって、確定申告はまったく未知の世界でした。おそらく同世代で親もサラリーマンだった場合、確定申告をしているひとはごくまれだったのではないでしょうか。社会に出たころはバブル景気の終わりだったころもあり、日本はまだまだ発展するという楽観的、というよりハイな雰囲気に満ちていました。そのようなときに、税理士志望でもなければ、あえてそのような勉強をする必要は感じませんでした。
サラリーマンが利用できる所得控除は?
サラリーマンの場合、まず給与所得控除がありますが、ここは収入によって決まってしまいます。社会保険料控除も会社で天引きされています。寡夫控除や障害者控除など、人的属性によって決まるものを除くと、自分で工夫ができるのは以下の控除でしょうか。
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 雑損控除
- 医療費控除
- 寄付金控除
実感として、サラリーマンが所得税と住民税を下げる効果があるのは限られています。いずれも上限金額に限度があるためです(もちろん、個人事業を行っていれば、小規模企業共済等掛金控除に含まれる小規模企業共済も使えます。上限が年間84万円、翌年分も前払いすれば168万円です。また、医療費控除の上限額は200万円ですが、大病をしない限りそこに到達するのはむずかしいでしょう)。
サラリーマンは(ほんとうに)税と社会保険の逃げ場がない。
よく年収1,000万円のサラリーマンでも生活に余裕がない、という記事をみかけます。その理由は、給与所得控除の金額が高くなく、反対に社会保険料、特に健康保険の金額が高いことでしょう(大企業グループの組合健保に参加していれば、協会けんぽより安くなっているでしょう)。この2つは雇用される会社の給与によって決まってしまうため、自分ではどうにもなりません。また、上にあげた控除をフルに使っても、年収1,000万円だと、給与天引きされている所得税は全額戻らないでしょう。住民税も所得割ゼロにすることもできず、天引きの社会保険料を還付したり、やすくすることもできないのです。
サラリーマンが「気楽な稼業」だったころ。
かつて「サラリーマンは気楽な稼業」というフレーズがでてくる歌(ドント節 by クレージーキャッツ)がありました。1962年ですから、日本の高度成長期ですね。そのころの税や社会保険料がいまと比較してどうだったか調べていませんが、バブル期と同様、一般のサラリーマンはあまり気にしなかったのかもしれません。
いま、サラリーマンで「気楽な稼業」と感じているひとはどの程度いるのでしょうか。就職活動をのりこえてつかんだ職であれば、自分を誇りにおもえるかもしれません。ただその対価が毎月、またボーナスの手取りとして実感できないのであれば、その誇りもすぐにどこかへ飛んでいってしまうのではないでしょうか。とすると、副業で事業所得または雑所得を得たり、配当所得・利子所得・不動産所得などの不労所得をえることは、生活に余裕を持たせるとともに、自分への誇りを維持するため重要なのか、といまさらながら感じている日々です。
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