現在、Amazonや楽天ブックスの分野ベストセラーの本でもあり、主催者の両学長さんのYouTubeも人気のため、いまさら紹介する必要もないかもしれません。ただ内容と構成についてはさすが、と思う点がありそこは強調しておいてもよいかな、と考えます。
なお、わたしは両学長や関係者の方とのコネクションはありません。また、わたしと異なり、若くしてはるかに成功されていると見受けられます。著書やYouTubeの内容にすべて賛同するわけではありませんが、想像される経験値の高さは及びもつきません。
【データ】
- 書名:本当の自由を手に入れるお金の大学
- 著者:両@リベ大学長
- 出版社:朝日新聞出版社
- 出版年月日:2020年
- 私が読んだ刷:第5刷(2020年8月10日付)
この本は、若いサラリーマン(収入のすべてが雇用主からの給与所得)向けに書かれていると思います。わたしもそうでしたが、まったく社会保障や金融知識を学ぶ機会もなく社会に出てしまい、給与明細に書かれている社会保険の意味がわからず、手取り額の少なさに嘆息していました。
STEP1では、日本の社会保険がいかに個人のリスクを分散する設計になっているかについて、解説されています。給与から引かれる社会保険料は確かに高いですが、それぞれ意味があり、民間保険に入る必要性はP.70に列記されている3つ以外はないことが説かれています。
わたしはここが、この本のもっとも重要な点だと思います。なぜならそれはサラリーマンに与えられた「黄金の羽根」(橘玲氏)なのですから。サラリーマンに副業や自営業への転身を勧める本は多いですが、現在の立場とその優位性を理解し、リスクは最小限にとどめたうえで、先に進む戦略を説いた本はこれまでなかったように思います。なお、橘氏が「黄金の羽根」と呼んだのは個人事業主やマイクロ法人に用意されている日本国の制度のことで、橘氏の意見ではなく、わたし個人の見方であることをお断りしておきます。
固定費の削減・所得控除を活用して手元キャッシュの流出を防ぎ、転職による給与所得の向上と副業による事業所得(社会保険がかからない)によりキャッシュを蓄え、余剰キャッシュを投資へまわし、配当所得・利子所得・不動産所得を得るという流れは納得のいくものです。これらはロバート・キヨサキ氏や橘玲氏の著書にならうもので、目新しいものではありませんが、資産をつくる鉄則は不変ということでしょう。おすすめの副業8種が2020年の現代を表していますが、これらは10年後に読み直したとき、時代感が出ているかもしれません。また、不動産投資は両学長さんの成功体験があって書かれているのでしょうが、いきなりリスクのあるサラリーマン大家になることを推奨していないのは、読者のことを考えていると感じます。
社会保険の説明がもっとも重要と言いましたが、YouTubeでは傷病手当金と失業保険の実践的な解説が出色の出来だと思います。今現在、つらい思いをしながらサラリーマン生活を送っているかたは、繰り返し見て、前に進むための逃げ道はあるということを、ぜひ理解していただきたいと思います。
注文があるとすれば、巻末に索引があれば、というところでしょうか。またYouTubeには難易度の高い、障害年金の受給手順の解説を期待しています。周りによいブレーンの方々がいらっしゃるでしょうから、いつか見せていただけることと思います。
この本が30年、いえ20年前に読めればよかったのに、と心底思います。その意味で、少子高齢化による危機感と閉塞感をあおるメディアに圧倒されているかもしれない若いかたが、とてもうらやましく感じます。
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